印刷博物館ブログ – いんぱく通信

花形装飾活字の世界

2017年06月30日(金) by onsen

先週末、印刷の家では、大人のための活版ワークショップ2017「花形装飾活字の世界」を開催しました。当日の様子は当館のツイッターフェイスブックで紹介しています。ここではもう少し詳しく花形装飾活字についてお話します。

花形装飾活字は、文字の活字と組み合わせて使うことができる装飾用の活字です。

15世紀終わり頃のイタリアで、鋳造された花形装飾活字が使われるようになりました。特に、印刷・出版が発展したのは海運都市ヴェネチアです。東方、イスラム文化圏から、アラベスクと呼ばれるぶどうや花の蔓草模様が伝わり、書物の装飾にとりいれられました。また、当時はルネサンスの時代。古代ローマの装飾も見直され、花形装飾活字として復活しました。

植物の形をした活字は、生命、信仰、豊穣などの象徴として好まれました。印刷の家にも、ヴァイン・リーフと呼ばれる葉っぱの形をした活字があります。16世紀初めに流行し、様々な形にアレンジされて、近代でも鋳造されていました。

その後、花形装飾活字は16世紀フランスで大きく発展しました。活字の上下左右の向きを変えて、単独ではなく、組み合わせて使うユニット形式へと展開されます。

こちらは、活字製作者のロベール・グランジョンがつくった活字をもとにした見本。グランジョンは様々な都市で父型(活字のもとになるもの)を売っていたので、彼の活字はヨーロッパ中に広まりました。

こちらは1557年以降、おそらくリヨンかベルギーのアントワープでデザインされたもの。

左側の活字はこのような四つのユニットから成ります。

組み合わせの見本。まるで万華鏡のようです。

フランスのリヨンは花形活字の主要な生産地でした。こちらは1570年頃から登場したリヨン風の活字。

組み合わせによって、様々な表情が見られます。

それからルネサンスは衰退して、18世紀フランスでは、ロココ様式の華やかな装飾が流行しました。それを活字の世界で表現したのがピエール・シモン・フルニエという人です。活字は重ねたり詰めたりすることができないという制約がありますが、以下のような多彩なバリエーションを生み出しました。

フルニエの活字をもとにした組見本。とても豪華です。

外枠の貝殻模様は、このような細かい活字を並べています。印刷の家でもフルニエ風の活字を所蔵しています。

16世紀以来発展した花形装飾活字は、20世紀に入るとモノタイプなどの自動鋳植機によって、機械で生産されるようになります。その時に、再び古典の活字が見直されました。1920年代、当時の最新技術によって、古典の活字を復刻するという活動が起こりました。また、デジタルに移行した現代でも、花形が含まれているデジタルフォントがあります。

技術の進歩や流行に合わせて少しずつ形を変えて、また様々な文化と融合して、花形装飾活字は文字とともに長く使われてきました。普段なかなか皆さんにご覧いただくことがないので、今回は花形にスポットをあてたイベントを開催することができて、良い機会となりました。

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