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> ケルムスコットプレス刊本『チョーサー著作集』
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ウイリアム・モリスの設立した印刷所から生み出された書物を、ケルムスコット・プレス刊本と呼んでいます。この印刷所から生まれた本が数ある書物の中でなぜ価値があるかを知るのには、モリス自身とその生きた時代を紹介する必要があります。
彼が生きた時代とは今から約100年前の世紀末イギリスです。この時代は産業革命によるモノ作りの効率化を受けて、多量にモノを生み出せるようになった「モノ時代の始まり、消費時代の始まり」でありました。
しかし 経済効果中心の追求により、粗製乱造という言葉に現わされるように一つ一つ大切にモノを生み出す時代ではありませんでした。それは書物という精神的なモノもその例外ではありませんでした。
この時代に生きたモリスという人物は社会改良家、そして画家であり工芸家、すなわち思想家であり、モノ作りの人でもありました。彼はこの粗製乱造下のモノの時代に、最後の仕事として取り組んだものが本作りであり、結果的に印刷所を自ら開くことでありました。
いうなれば「モノ作りにおける精神性を社会に訴えるために生み出した結晶」がこのケルムスコット・プレス刊本という書物であり、ゆえに価値が高い書物と言えるわけです。
この本は日本やイギリスなどで世界三大美書の1冊と呼ばれている、『チョーサー著作集』です。
全体のデザインだけではなく使用されている活字もモリス自身のデザインです。
100年以上を経た今でも非常に美しく力強い本であり、印刷物を芸術品にした逸品です。
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