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杉田玄白『解体新書』
杉田玄白『解体新書』  ヒトのからだを解体し、その中身を知らしめる木版刷りの本「解体新書」は江戸時代中期1774年(安永3年)に刊行されました。

 現実を直視しない当時の医学に疑問を抱いていた著者(訳者)である杉田玄白らは、医学の基本である はずのヒトのからだを実際に自分たちの目で確かめたい、そう熱望していました。しかし、当時ヒトを解剖するのは幕府から禁止されており、唯一死刑になった罪人の「検屍(腑分け)」だけがそれに近いものでした。幕府に懇願し、刑場で初めてヒトのからだの中身をみた玄白らは、書いてある言葉はわからないが手元にあったオランダ医学書にある図版と、それがそっくりであることに大変なショックを受けました。

 この体験をもとに玄白らは詳しい図版入りの「解体新書」を刊行することで、多くの人々に人体内の確かな姿をまさに「一目瞭然」で伝えることに挑戦したのでした。またこのような図版をみながら翻訳していく過程で生まれたのが「神経」や「盲腸」「軟 骨」といった今では誰もが知っている言葉です。このように玄白らは新しい概念を図版を通して生み出し、人々に伝えていったのです。   


杉田玄白『解体新書』
扉絵をご覧ください。この有名な扉絵には堂々と「アダムとイヴ」が描かれています。キリスト教を禁じていたこの時代に、玄白らがキリスト教について知らなかったのは当然ですが、出版物検閲の際に取り締まる側の幕府の役人でさえ憎むべき異教がどのようなものなのかを知らず、やみくもに禁止だ、禁止だ!と騒いでいた姿が想像できます。その姿は滑稽であるとともに、その一方で情報の持つ強い影響力を伺い知ることができましょう。








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