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ヨンストン「禽獣魚介蟲図譜」
 アフリカの草原を走りまわるライオンやアマゾンに住む熱帯魚など、遠い異国の動物や魚たちを私たちはいつ、どのように知り得たのでしょう?古来日本人は唐獅子や麒麟など想像上の動物として未知の動物を捉えてきました。しかし江戸・鎖国時代に外国から輸入された一冊の図鑑がそのような認識を大きく変えることになります。その本とはオランダのライデン大学教授ヨンストン(1603〜75)が著わした「禽獣魚介蟲図譜(1660年アムステルダム刊)」です。

 この本は日本初の腐食銅版画家として有名な司馬江漢が「世界中の生類を集めたる本にて、獅子、竜、其外日本人見ざる所の物を生写した」と書いているように,動物や鳥、魚、昆虫などを銅版を用いて克明に、かつ整理して描き出しています。この本は1663年当時の出島商館長によって4代将軍家綱に献上された後、8代将軍吉宗が書庫から持ち出してオランダ人に質問するまで、約50年もの間一般の人々の目に触れることはありませんでした。この一件を境に幕府は外国からの情報に対し、よりオープンになり外国文化を市民が目にする機会も増えていきました。

 この図鑑の正確さ、リアリティに驚いた人々が,後に「蘭学」と呼ばれる、外国文化を吸収した新しい学問を生みだしていきます.そのきっかけとなった書籍です。   


ヨンストン「禽獣魚介蟲図譜」
銅版画による細かなリアルさが売りの書籍ですが、そんな技法上のリアリティとは別に、写真にあるような想像で描いたとしか思えない図版をみると思わず笑ってしまいます。現代の私たちは「こんな動物がいるわけがない!」などと考えることなく動物図鑑を楽しみますが、ヨンストンの時代の人々もきっと、これら人魚や怪物たちのの存在を疑わずにこの驚きに満ちた図鑑を楽しんでいたのでしょう。








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