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「ヨーロッパのライバルたちを覗くと−マインツ・ミラノ・パルマ」
印刷の文化をめぐる博物館は、日本にはわたしたちのものをふくめて、いくつかあります。けれども、近代印刷を創始したヨーロッパには、もっと多数のものが。ライバルなのですが、率直にいって羨ましい限りです。
5月末から6月にかけて、ほかの用務ついでに、3つの博物館をめぐってきました。ドイツ・マインツのグーテンベルク博物館。むろん、活版印刷術の開発者であるグーテンベルクの故地にしつらえられました。プライドも満々といった感じです。それでも、近年では、アジアの印刷伝統についての展示コーナーもうまれて、世界への視野がひらけてきたのが、とても印象的です。いうまでもないことですが、印刷の世界でも、ますますのグローバリゼーションがすすんでいます。
つぎには、イタリアのミラノ。ここは、いまやルネサンスの天才レオナルド・ダ・ヴィンチでもちきりです。「最後の晩餐」は、この町にあります。そこからほど近い国立科学技術博物館。ダ・ヴィンチの名前をのせています。ここには、かれが発案したという印刷機の想定復元がおかれています。現実につかわれていたものよりも、ずっと軽量で操作しやすいメカニズム。ただし、実際には、そのとおりに実現しなかったようです。天才は、どうも早く生まれすぎたのでしょうか。
最後は、おなじイタリアのパルマ。ミラノから1時間30分。ここに、ボドーニ博物館があります。ボドーニとは、18世紀から19世紀にかけての著名な印刷者。あらたな活字字体をつくり、おびただしい数の書物を印刷した改革者。その成果や遺品が、収蔵されており、とても勉強になりました。もっとも、ほんとうのことをいえば、お尻がうずうずしていたのです。パルマの町は、博物館よりはべつの名物で有名。パルメザン・チーズとパルマの生ハムです。昼食には、これをたっぷりと味わうことになっていたからです。
さて、3つの博物館。どこでもおおきな刺激をうけました。印刷という文化のなかに、それぞれの国や民族の個性が的確にあらわれます。わたしたちも、そのように観察されるような、特徴あるメッセージを発信しなければならないな。どうか、有用なヒントをあたえてください。お願いです。
印刷博物館館長
樺山 紘一
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