館長メッセージ

2011年2月18日

鯰絵の世界展と店頭デザイン大解剖展

印刷博物館では、今年になって始まった2つのプロジェクトが進行中です。

昨年から連続して行ってきた総合展示コレクション展は第5回となります。「鯰絵の世界」と題して、たくさんのナマズが登場します。江戸時代の末、安政の大地震をきっかけとしてにわかに流行した「鯰絵」。地震を引きおこすと信じられたナマズをテーマに、この愛嬌のある魚を、懲らしめたり、お手やわらかにと祈ったり。そして、地震でひともうけを企てる商人たちを皮肉ったり。このユーモラスな発想はどこから来たのでしょうか。いろいろのバージョンがあります。そのコレクションを一挙に公開しました。

いまひとつ、1階のギャラリーでは、「店頭デザイン大解剖展」が開催されています。クリエーターの方がたが、街にあるお店にどのようなデザインをしつらえるか。私たちはふつう、店頭デザインに魅せられて入店し、それからゆっくりと品定めするもののようです。そのしくみは、いろいろの印刷物を発案する、私たち博物館の作業と同じ方向をむいているのでしょう。

2つの展覧会。まだ寒い日が続いていますが、ふらりとお立ち寄りになりませんか。

お待ちしています。

印刷博物館館長

樺山 紘一

過去の館長メッセージを見る

館長プロフィール

印刷博物館館長

樺山 紘一

1941年、東京生まれ。1965年、東京大学文学部卒業、同大学院修士課程修了後、1969年から京都大学人文科学研究所助手。1976年から東京大学文学部助教授、のち同教授。2001年から国立西洋美術館長。2005年から印刷博物館館長、現職。専門は、西洋中世史、西洋文化史。おもな著作に『異境の発見』、『地中海、人と町の肖像』、『ルネサンスと地中海』、『歴史のなかのからだ』、『西洋学事始』、『歴史の歴史』、『ヨーロッパ近代文明の曙 描かれたオランダ黄金世紀』など。