館長メッセージ

2012年3月21日

電子書籍展がはじまります

3月31日から、P&Pギャラリーで電子書籍展を開催します。

いまさら、なにを「電子書籍」なのかと、いぶかしげにお尋ねの向きもあるでしょうか。これだけ各方面で話題にされているのに、屋上に屋を重ねるとはこのことかと。

でも、じつはその電子書籍の成りたちや仕組みは、意外に知られていないらしいのです。本当のことを言うと、みな知ったかぶりをして、本物のエキスパートの口真似をし、「電子書籍は、印刷本を駆逐するか」などと、ご託をこねているのかもしれません。もちろんかく言うわたしだって、デジタル音痴ぶりがすぐに尻尾を出してしまいます。

いちど、ごく基本にもどって、ものの理屈を考えなおしてみたい。そして、この際、分かったつもりのことを、あらためて確かめなおしておきたい。この展覧会は、ゼロからの仕切り直しをめざします。アナログ本とデジタル本の比較から、デジタル本の未来形まで、いちど洗いざらい棚卸しをしてみることにしました。どうか遠慮なく、ご意見をおきかせください。わたしたちも、理解できる範囲のことを、ご一緒に考えてみたいと思います。

印刷博物館館長

樺山 紘一

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館長プロフィール

印刷博物館館長

樺山 紘一

1941年、東京生まれ。1965年、東京大学文学部卒業、同大学院修士課程修了後、1969年から京都大学人文科学研究所助手。1976年から東京大学文学部助教授、のち同教授。2001年から国立西洋美術館長。2005年から印刷博物館館長、現職。専門は、西洋中世史、西洋文化史。おもな著作に『異境の発見』、『地中海、人と町の肖像』、『ルネサンスと地中海』、『歴史のなかのからだ』、『西洋学事始』、『歴史の歴史』、『ヨーロッパ近代文明の曙 描かれたオランダ黄金世紀』など。