館長メッセージ

2012年9月1日

「これも印刷?!」びっくりの展覧会

ふつうの紙に、ふつうの文字や絵を印刷する。その色をかえてみることはできる。でもこれは、ふつうの印刷の範囲内。ところが、その常識をちょっといじってみたら。

たとえば、キラキラ光るような文字や、凹凸のある文字でザラザラにしてみるとか。紙の表面がとびだして、印刷した紙がかたちを変えるとか。

こんな工夫をこらした方法を、「特殊印刷」とよびます。これも印刷なのだという驚きが聞こえてくるようです。視覚をくすぐるばかりではありません。触覚や嗅覚までも刺激して、五感で読みとるような印刷が生まれます。それは、現場の技術者のたいへんな努力のたまものです。

今回の展覧会では、特殊印刷のふしぎをご覧いただきます。どうか期待してお越しください。

印刷博物館館長

樺山 紘一

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館長プロフィール

印刷博物館館長

樺山 紘一

1941年、東京生まれ。1965年、東京大学文学部卒業、同大学院修士課程修了後、1969年から京都大学人文科学研究所助手。1976年から東京大学文学部助教授、のち同教授。2001年から国立西洋美術館長。2005年から印刷博物館館長、現職。専門は、西洋中世史、西洋文化史。おもな著作に『異境の発見』、『地中海、人と町の肖像』、『ルネサンスと地中海』、『歴史のなかのからだ』、『西洋学事始』、『歴史の歴史』、『ヨーロッパ近代文明の曙 描かれたオランダ黄金世紀』など。