館長メッセージ

2015年3月3日

みんなにうれしいカタチ展がはじまりました

印刷博物館が、「印刷表現のユニバーサルデザイン」と題してP&Pギャラリー企画展を開催したのは、2008年初春のことでした。誰にとっても好適なデザインを標榜したのですが、その当時の認識では、まだやや狭い対象と目標を念頭においていたようです。特定のユーザーにとっての不便を回避しようという、いくらか限定的な課題をかかげて。

ところが、この7年間のあいだに、ユニバーサルデザイン(UD)ということばは、さまざまな場でうけいれられ、以前よりもはるかに積極的な意味をもつようになってきました。どんな事情のある人も(「ユニバーサル」)、喜んで利用できる(「うれしい」)デザイン。体力・体格、年齢・性別、知覚力・判断力、国籍・言語の違いをこえて、平時でも非常時でも安心して利用しエンジョイできるデザインへと、踏みだしました。

今回の展示では、そのUDの現在の姿を、広くさぐってみたいと考えました。さまざまな商品や日用品に、いろいろの創意が満ちあふれていることを教えられます。どうか、この事情を吟味して、わたしたちに有用な示唆をいただければと念じています。

印刷博物館館長

樺山 紘一

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館長プロフィール

印刷博物館館長

樺山 紘一

1941年、東京生まれ。1965年、東京大学文学部卒業、同大学院修士課程修了後、1969年から京都大学人文科学研究所助手。1976年から東京大学文学部助教授、のち同教授。2001年から国立西洋美術館長。2005年から印刷博物館館長、現職。専門は、西洋中世史、西洋文化史。おもな著作に『異境の発見』、『地中海、人と町の肖像』、『ルネサンスと地中海』、『歴史のなかのからだ』、『西洋学事始』、『歴史の歴史』、『ヨーロッパ近代文明の曙 描かれたオランダ黄金世紀』など。