コレクション

「大久保利通肖像」

収蔵品

1879年(明治12年)制作/サイズ:390×510mm(横×縦)

資料番号:01461

イタリア人、エドアルド・キョッソーネ(1833-1898年)が完成させた銅版画です。縦51、横39センチで、印刷局から出版、販売されました。この肖像画の背景や礼服など黒い部分に、メゾチントという技法が日本で初めて用いられました。
メゾチントとは、ロッカー(またはベルソー/先端の刃先が櫛状で鋸のようにギザギザになっているヘラ)という特殊な工具を使用して、銅板の面に細かい傷をつくり、そこにインクを詰め印刷すると、一面を覆うように質感をもった黒に刷りあがる直刻法です。目や毛髪、ひげなどは、ビュラン(鋭利な彫刻刀)で版を直接彫るエングレーヴィングにより、鋭く繊細な線が表現されています。唐草模様のモールは、エッチングという腐食法で、ニードル(尖った針)により、柔らかい線が描かれています。
いわゆる「お雇い外国人」として、1875年にキョッソーネは来日しました。有価証券の原版彫刻方式として緻密な銅凸版の製版であるエルヘート凸版法などの技術を伝え、多くの弟子たちを育成しました。更に日本の美術品を広範囲に収集し、貴重なコレクションを残すなど、産業だけでなく文化の分野でも日本とヨーロッパの架け橋となりました。