コレクション

〈三色版嚆矢紀念 絵葉書〉

収蔵品

1903年(明治36年)制作/サイズ:91×141mm(横×縦)

資料番号:01774

紹介する絵葉書は、大江印刷所が印刷したもので、わざわざ袋に「三色版嚆矢紀年」と記されているように、大江印刷所は三色版印刷の先駆となる印刷所でした。三色版とは現物の色を三色分解し、網版法と合わせて、色再現、調子再現を行う方法です。シアン(藍)、マゼンタ(紅)、イエロー(黄)の三色のみで、フルカラーを再現できるというもので、画期的な技術でした。この原理である減色法は1868年にフランス人、ルイ・オーロンによって発明されていましたが、実用化までには長い年月がかかりました。
日本においては、明治30(1897)年頃から三色版印刷の研究が行われるようになりましたが、実用化されたのは明治三十五(一九〇二)年のことでした。当時、大出版社であった博文館が発行する雑誌『文藝倶楽部』に三色版で印刷された口絵が掲載されたことが代表的な例です。この印刷を行ったのが大江印刷所でした。
大江印刷所は明治3(1903)年の第五回内国勧業博覧会で、明治天皇の行幸の際に絵葉書の三色版印刷の実演を行っています。この絵葉書には「第五回内国勧業博覧会ニ於テ(中略)ウヰクトリヤ三色摺印刷機械ニ依リ印刷セルモノナリ」とあり、その時に印刷されたものと思われます。