コレクション

『活版印刷の手引き』

収蔵品

1818年制作/サイズ:227×327×55mm(横×縦×厚み)

資料番号:20680

「活字のより完全な形こそ印刷芸術である。同一のテキストを大量につくり、読みやすい形で後世の目に供することが問題になるからである」
あなたのパソコンに、ボドニという書体(フォント)が入っていませんか。この書体の名前は、書体をつくった人の名前からつけられました。
イタリア人であるボドニは、書体形成の根本を変えることで、歴史に名を残すことになりました。それまでの書体には、手書きの文字の影響が残っていましたが、ボドニはその特徴を無くし、幾何学的論理にもとづいた書体を制作しました。印刷の時代のための新しい書体です。先に掲げた言葉は、それが象徴されたものであり、この言葉が記された本が今回紹介する『活版印刷の手引き』です。
この書物は、彼の死後1818年に、彼の妻と職工長が製作したもので、記念碑的な書物といえます。その内容は活版印刷の手引きであり、彼の作成した活字書体の見本帳でもあります。しかし、単なる技術書、見本帳としての価値を卓越し、芸術的な意味において新しい様式を示した一冊といえます。