コレクション

『中国語辞典』

収蔵品

1815年制作/サイズ:260×320×50mm(横×縦×厚み)

資料番号:41080~41085

プロテスタント宣教師であるイギリス人ロバート・モリソンが、中国で編纂した全3部計6巻からなる中国語辞典です。他国において布教するためには、その地の言語の習得は必須であり、そのためにも辞書は重要とされていました。第1部は部首別に約4万語の漢字が掲載されている3巻からなる華英辞典、第2部は音節別に4万語を掲載した2巻からなる華英辞典、第3部は1巻からなる英華辞典です。
本書の著者、モリソンはLondon Mission Societyに派遣され、1807年に入華しました。当時は中国側の弾圧により、宣教師は布教どころか居住地を確保するのも困難な時代でした。布教に好意的でないのは中国だけではなく、中国との貿易で利益を得ていた東インド会社は、中国政府との摩擦を避けるために、本国イギリスからの宣教師の来華を好ましく思っていませんでした。そのため、モリソンは1809年、東インド会社の通訳となり、中国駐在が可能となったので、文書による布教に力を注ぐことになりました。結局、東インド会社は聖書の翻訳出版をしたことに対する制裁措置としてモリソンを解雇しますが、『中国語辞典』の刊行に関しては、物資や技師に加え、多額の資金を提供し援助しました。この辞典の内容を見ると、布教のためだけでなく、商業、学術的観点からも役立つように考えられていたことがわかります。ちなみに、この辞典の漢字の印刷に用いられた金属活字は鋳造活字ではなく、一本一本彫られて作られた活字です。