コレクション

アンデルセン著『デンマークの御伽噺』

収蔵品

1846年制作/サイズ:380×300×40mm(横×縦×厚み)

資料番号:52921

この書物は1846年にイギリスで出版されたもので、著者は有名なアンデルセンです。
アンデルセンの童話は、1830年代後半になるとデンマークから欧州各国でも受け入れられ、各国の言葉で翻訳、出版されました。なかでもイギリスでは、1845年から46年にかけて多くの翻訳本が出版されたのです。しかし当時の欧州の印刷事情は、産業革命による大量生産の影響で、質の悪い印刷物が多く出回っていました。英訳されたアンデルセンの書籍も同様でした。
この事態を食い止めるべく、ウィリアム・ピッカリングという良識ある出版人が印刷職人チャールズ・ウィッティンガム率いるチズウィックプレスと組んで、良質の書物を出版して好評を得ていました。
この『デンマークの御伽噺』もピッカリングが出版していますが、挿絵も過度な装飾もなく、活字書体は18世紀のイギリスで作られたカスロンという力強く読みやすい書体を使用して、美しい書物に仕上げています。
しかしピッカリングたちの努力は報われず、イギリスでデザインや印刷が向上するのは、19世紀末にウィリアム・モリスたちが活躍するまで待たなくてはなりませんでした。