コレクション

『調律の科学原理』

収蔵品

1806年制作/サイズ:133×208×3mm(横×縦×厚み)

資料番号:54349

1806年に発行された本書は、チャールズ・スタンホープによって著されました。音楽における調律原理は数学者たちからも長く研究対象として扱われていました。著者スタンホープは、その理論を研究する数学者であると同時に、政治家でもあり、世界で初めて総鉄製の印刷機スタンホーププレスを開発した人でもありました。
多才な彼は、数学者として自身でまとめた論文を、自ら印刷し、発表しました。同年に発行された雑誌『Phylosophical Magazine』には、彼のこの論文が再録されており、その注釈には、論文がステレオタイプ(鉛版)を製版し、スタンホーププレスを使用して印刷されていることやその評価が書かれています。鉛版は、1829年フランスのジュノーが紙型を発明したことにより、その製法が確立され、広く普及することになりますが、それまでの間も、活版を複製する手法――鉛版の製作は、印刷者たちにとって、長年の課題でした。
調律原理、印刷機、鉛版。本書からは、研究に貪欲な科学者としてのチャールズ・スタンホープの姿も浮かび上がってきます。