コレクション

インキボール(複製)

収蔵品

サイズ:200×200×245mm(横×縦×厚み)

資料番号:54352

インキングボールとは、版にインキをつけるための道具で、タンポンとも呼ばれます。これは、主に活版印刷で使用されていたものです。
お椀型にくり抜かれた木製の芯の部分に、羊毛などを詰め、革を張って作ります。版にインキを均一につけ、ムラのない印刷面を作るためには、この革の表面をなめらかにすることが非常に重要なことでした。そのため、手に入りやすい羊の革以外に、汗腺のない犬の革も用いられました。
また、常に革が柔らかい表面を保てるよう、一日の仕事の終わりにきれいに洗うことはもちろん、印刷中であってもインキ台に置いたままにすることはなく、フォーク状のインキボール掛けに逆さまにかけていました。インキボールの表面が台に接触したままになると、非接触面とのインキの乾燥に差がでて、ムラになってしまうからです。
15世紀半ばの活版印刷はじまり以来、長く使用されてきた道具ですが、産業革命の影響を受けて、19世紀頃からより効率のよいインキローラが開発され、徐々に姿を消していきました。現在では、彫刻凹版の一部で使用されているのみです。