コレクション

『ヴェイラント文法書』

収蔵品

1859(安政6)年制作/サイズ:140×201×37mm(横×縦×厚み)

資料番号:78534

幕末期の近代活字本のうち最古級の欧文活字本。タイトルページ下部の刊記「Nagedrukt te Nagasaki in het 6 de jaar van Ansei (1859)」から、長崎で安政6年に刊行されたことがわかります。ヴェイラント著『オランダ語文法書』(ブルッヘ書店、オランダ、1846年刊)を、長崎奉行所内にできたばかりの活版印刷所で刊行しました。〈日本の近代印刷術の祖〉本木昌造らが印刷を担当したと考えられます。本文や余白の見出しのアルファベットが上下逆さま、活字のベースラインが揃っていない、頁付に誤植が散見される、極端な文字の濃淡差、最後の1折(321~328頁)が天地逆さまに綴じられているなど、活字鋳造、組版、印刷、製本あらゆる面で本木らが洋書製造に苦戦していたことがわかります。最近、都内文化施設と共同でマイクロスコープを使い、本書を調査したところ、本文用紙が楮、三椏を材料にした流し漉きによる和紙であることが判明しました。両面印刷できるよう厚手に漉かれているのも特筆すべきポイントです。出島版とともに幕末期の洋書作りの様子をしる貴重な手がかりです。