館長メッセージ

2007年3月14日

名刺展-名士でなくとも固有名詞を刷ってみよう

いま、博物館のP&Pギャラリーで、「はじめまして」の名刺展が、ひらかれています。ちょっとした話題です。なにしろ、いまの日本人は、ビジネスでも社交でも、名刺なしにはすみません。初対面なら、まず名刺交換からはじまるでしょう。

ある計算によれば、日本人が1年間につかう名刺は、じつに90億枚とか。ひとりあたり70枚ということになります。だれでも、世間にむける顔として活用しています。もしかりに立派な名士でなくとも、固有名詞があれば、名刺を刷ってみよう。そんな駄洒落もいってみたくなりますね。

ほんとうにアイディア満点の名刺の数々。紙質から、デザインから、色彩まで。それでも、91ミリ×55ミリという規格だけは、きびしく守っています。土俵がおなじだから、余計に工夫がますのかもしれません。第一印象で、相手にインパクトをあたえようとする創意に、ほんとうに驚かされます。

焼きのりのような肌合いをした、海苔屋さんの名刺なんて、想像できますか。論より証拠、ぜひ実物をご覧ください。4月28日までです。お忘れなく。

印刷博物館館長

樺山 紘一

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館長プロフィール

印刷博物館館長

樺山 紘一

1941年、東京生まれ。1965年、東京大学文学部卒業、同大学院修士課程修了後、1969年から京都大学人文科学研究所助手。1976年から東京大学文学部助教授、のち同教授。2001年から国立西洋美術館長。2005年から印刷博物館館長、現職。専門は、西洋中世史、西洋文化史。おもな著作に『異境の発見』、『地中海、人と町の肖像』、『ルネサンスと地中海』、『歴史のなかのからだ』、『西洋学事始』、『歴史の歴史』、『ヨーロッパ近代文明の曙 描かれたオランダ黄金世紀』など。