館長メッセージ

2008年2月6日

ユニバーサルデザイン展へのお誘い ―眼にやさしいデザインへの挑戦

ユニバーサルデザインという言葉が、近ごろにわかに注目を集めるようになりました。わたしたちの生活現場にある施設や製品のあり方についての、あたらしい提案です。

どんな心身の能力がある人にも、だれでも安心して使用できるようなデザインを提供しようという提案。印刷物についていえば、視覚能力のちがいをこえて、みんながアクセスできるような、つまりユニバーサルなデザインを考えようということ。バリアフリーよりも、もっと視野の広い見方といえるかもしれません。

たとえば、視力の減退のために、不便・不自由をしのんでいる人も多いことでしょう。字が小さいとか、色が見分けにくいとか。じつは、私もそのひとりなのですが。

でも、制作者のちょっとした配慮や思いやりがあれば、困難は克服できるでしょう。利用者に無理をおしつけず、しかも美しさを保全できるデザインのために、関係者が努力をかたむけてきました。

その試みの実例をご覧いただきます。印刷表現に新時代の到来が予感できるのではないでしょうか。皆さまのご感想をお聞かせください

印刷博物館館長

樺山 紘一

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館長プロフィール

印刷博物館館長

樺山 紘一

1941年、東京生まれ。1965年、東京大学文学部卒業、同大学院修士課程修了後、1969年から京都大学人文科学研究所助手。1976年から東京大学文学部助教授、のち同教授。2001年から国立西洋美術館長。2005年から印刷博物館館長、現職。専門は、西洋中世史、西洋文化史。おもな著作に『異境の発見』、『地中海、人と町の肖像』、『ルネサンスと地中海』、『歴史のなかのからだ』、『西洋学事始』、『歴史の歴史』、『ヨーロッパ近代文明の曙 描かれたオランダ黄金世紀』など。