館長メッセージ

2008年12月12日

美しい本を求めて

今年も、ブックデザイン展の季節となりました。読書離れがとりざたされる昨今、本の魅力をとりもどそう。そのためには、書物の中身を豊かにするとともに、外見も美しくなければなりません。ブックデザイナーたちは、いま必死で努力しています。その姿をご紹介したいと考えてきました。

昨年までは、ドイツの「最も美しい本コンクール」の入選作を中心に、展覧してきました。今年から、それにくわえてオランダ、スイス、チェコ、フランス、韓国、そして日本と、あわせ7か国に拡充しました。また、「世界の最も美しい本コンクール」の入選作として、中国、ベネズエラやポルトガルなど各地から参加しています。

それぞれの国で、ブックデザインの方向がちがうのは、当然でしょう。あわせて、コンクールの基準や判断にも個性があるはずです。その微妙な差をみつけるのも、おおきな楽しみといってよいでしょうか。

世界中から、総計で240点の作品がつどいます。どうか楽しみにしてお越しください。お待ちしています。

印刷博物館館長

樺山 紘一

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館長プロフィール

印刷博物館館長

樺山 紘一

1941年、東京生まれ。1965年、東京大学文学部卒業、同大学院修士課程修了後、1969年から京都大学人文科学研究所助手。1976年から東京大学文学部助教授、のち同教授。2001年から国立西洋美術館長。2005年から印刷博物館館長、現職。専門は、西洋中世史、西洋文化史。おもな著作に『異境の発見』、『地中海、人と町の肖像』、『ルネサンスと地中海』、『歴史のなかのからだ』、『西洋学事始』、『歴史の歴史』、『ヨーロッパ近代文明の曙 描かれたオランダ黄金世紀』など。