館長メッセージ

2009年3月1日

地球環境を守るために

急速に悪化する地球環境をまえにして、わたしたちはどんな取り組みをしたらよいのでしょうか。印刷にかかわる産業は、もちろん生産現場での環境保全に全力をかたむけています。そればかりではありません。印刷という営みにあって、グラフィックデザインをとおしての賢明な啓発という道も、有効なはずです。

グラフィックデザインによって訴えること。そのために、企業も自治体もさまざまな試みをおこなっています。ポスターも、メディアでの広告・宣伝も、キャラクターグッズも、そして冊子や書物も、それぞれの方法で、エコロジーの価値を必死で強調するようになりました。それは、印刷という文化が社会にゆたかに貢献するための、納得できる方策だと信じさせてくれるようです。

国内や国外で、そして社会のあらゆる場所で、環境への想いをデザインすること。わたしたちは、それによって印刷の社会的責務をはたせると考えます。どうか、その成否について、皆さまのご感想をおよせください。わたしたちの共通財産である地球環境を、すこしでも健全に保持するために。

多数の皆様のご来館をお待ちしております。

印刷博物館館長

樺山 紘一

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館長プロフィール

印刷博物館館長

樺山 紘一

1941年、東京生まれ。1965年、東京大学文学部卒業、同大学院修士課程修了後、1969年から京都大学人文科学研究所助手。1976年から東京大学文学部助教授、のち同教授。2001年から国立西洋美術館長。2005年から印刷博物館館長、現職。専門は、西洋中世史、西洋文化史。おもな著作に『異境の発見』、『地中海、人と町の肖像』、『ルネサンスと地中海』、『歴史のなかのからだ』、『西洋学事始』、『歴史の歴史』、『ヨーロッパ近代文明の曙 描かれたオランダ黄金世紀』など。