館長メッセージ

2013年11月29日

世界のブックデザイン展へどうぞ

今年も、また「世界のブックデザイン展」の季節がやってきました。電子書籍が隆盛を迎えようとするとき、書物にデザインの粋を求めるのは、もう時代おくれなのでしょうか。いえ、わたしたちはそうは考えないのです。中身の豊かさとひとしく、装幀や版面など外見上の美しさも、書物の要件だと固く信じるからです。

当館で12回目にあたる今回も、ドイツ主催の「世界で最も美しい本」コンクールの入選作に加え、オランダ、スイス、カナダ、オーストリア、ドイツ、ベルギーそして中国と日本と、あわせ8カ国からの優れたデザインの書籍、約200点を展示します。世界各地からやってきた本を眺め、そっと触ってみてください。

使われる言語はさまざまですが、デザインは万国共通のことばです。グローバル化する世界だからこそ、デザインのことばをとおして対話を楽しみたいと思います。世界中から、多数の図書作品が集うところ、ブックデザイン展にぜひお越しください。

印刷博物館館長

樺山 紘一

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館長プロフィール

印刷博物館館長

樺山 紘一

1941年、東京生まれ。1965年、東京大学文学部卒業、同大学院修士課程修了後、1969年から京都大学人文科学研究所助手。1976年から東京大学文学部助教授、のち同教授。2001年から国立西洋美術館長。2005年から印刷博物館館長、現職。専門は、西洋中世史、西洋文化史。おもな著作に『異境の発見』、『地中海、人と町の肖像』、『ルネサンスと地中海』、『歴史のなかのからだ』、『西洋学事始』、『歴史の歴史』、『ヨーロッパ近代文明の曙 描かれたオランダ黄金世紀』など。