館長メッセージ

2022年9月20日

「地図と印刷」がはじまりました

わたしたちが日々の生活をおくる中で、欠かすことのできない存在として「地図」があります。古来から人びとは自分がいる世界を表し地理情報を伝えるため、表現技法のひとつとして地図をつくりだしてきました。そして多くの人に伝えるために印刷物となり、社会の営みを支え続けています。
現代において地図を使う場面を思い浮かべてみますと、印刷物にかぎらず、スマートフォンに代表されるデジタルデバイスやインターネット空間など、さまざまなメディアで展開され、コミュニケーションの幅が広がっています。そもそも地図が人びとに印刷物として享受されるようになったのはいつ頃なのでしょうか。日本では近世に地図が印刷物となって登場しました。
本展覧会では日本の近世を中心に、地図や地誌づくりにおける印刷と人びととのかかわりをご紹介します。日本の近世は木版印刷技術の成熟により多様な地図や地誌がつくられ、独自の発展を遂げました。日本地図や世界地図、都市図などが印刷物として流布し、時代に応じた世界像を形成していきます。ご紹介する資料の中でも、石川流宣、長久保赤水、伊能忠敬が作成した日本地図は、日本人の地理的な感覚や景観意識を垣間見ることができるものではないでしょうか。
末筆になりましたが、開催と図録の作成にあたり、ご助力・ご支援をたまわった皆さまに、厚くお礼申し上げます。

印刷博物館館長

金子 眞吾

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館長プロフィール

印刷博物館館長

金子 眞吾(かねこ しんご)

1950年生まれ。1973年4月凸版印刷株式会社入社。2010年6月代表取締役社長を経て、2019年6月より代表取締役会長。2021年10月から印刷博物館館長、現職。