館長メッセージ
2024年9月25日
「写真植字の百年」がはじまりました
1924年7月24日。印刷史上において画期的な技術「写真植字」の特許が出願されました。森澤信夫氏と石井茂吉氏の2人によって完成した邦文写真植字機は、やがて日本中にひろがり、印刷にとってなくてはならないものになっていきます。
日本語の文字は非常に多く、活版印刷では、膨大な量の活字から文字を選んで組版するという煩雑な作業をともないました。活版印刷に代わって登場した写真植字では、写真工学的な原理を使って1枚の文字盤からさまざまな文字を作り出すことができ、印刷の職場環境は大きく変わりました。また、多くの美しい書体の開発が容易に可能となり、写真植字によって生み出された多様な書体が印刷を彩るようになったのです。
現在では、印刷物はDTPと呼ばれるコンピューターによって作られたデータから印刷されています。写真植字が活版印刷から受け継ぎ、デジタルフォントへと引き継いだ文字印刷の系譜とはどのようなものだったでしょうか。本展覧会では、写真植字の発明から100年を記念し、写真植字の歴史、役割、仕組み、そして書体デザインをご紹介いたします。
末筆になりましたが、開催と図録の制作にあたり、ご助力・ご支援を賜りました多くの皆さまに厚くお礼申し上げます。
印刷博物館館長
金子 眞吾
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館長プロフィール
印刷博物館館長
金子 眞吾(かねこ しんご)
1950年生まれ。1973年4月凸版印刷株式会社入社。2010年6月代表取締役社長を経て、2019年6月より代表取締役会長。2021年10月から印刷博物館館長、現職。