コレクション

ワルエルダ『人体解剖図詳解』

収蔵品

1579年制作/サイズ:207×279×29mm(横×縦×厚み)

資料番号:51633

ワルエルダは16世紀中頃から後半にかけて活躍したスペイン人解剖学者。当時スペインで支配的だった古代解剖学の権威ガレノスの説を覆すヴェザリウス(近代解剖学の祖)の新しい解剖学を、本書を通じて詳細に解説しています(写真は本書の扉絵)。杉田玄白編『解体新書』扉絵にも類似したデザインが使われています。
ラテン語第三版。1566年に出版された同タイトル初版は、ネーデルラントで最初期の銅版画挿絵本であり、プランタン印刷所、さらには西ヨーロッパにおける本の挿絵の発展にとり転機となった著作です。
タイトルページの下絵はアントワープの油絵画家でピーテル・パウル・ルーベンスの先生でもあった、ランベルト・ファン・ノールトが1566年に描いたものです。第二版出版年にあたる1572年が、タイトルページに記されていますが、コロフォンによれば1579年4月16日の印刷に間違いなく、本書は第三版ということになります。プランタン印刷所がなぜ第二版のタイトルページを流用したかは謎です。
興味深いのは、タイトルページにある三つの紋章がアントワープ市庁舎と深く関係している点です。市庁舎は、1561年から1565年にかけて建築されたルネサンス様式の建物で正面上部中央にプラバント公園、スペイン王フェリペ二世、アントワープ伯爵領、それぞれの紋章が掲げられています。