コレクション
ジョバンニ・ボッカッチョ『デカメロン』
収蔵品
1573年制作/サイズ:153×221×43mm(横×縦×厚み)
資料番号:21962
ルネサンス文学を代表する14世紀の物語集。1348年のペスト流行を避けてフィレンツェ郊外に集まった男女10人が、10日間で1日1話ずつ物語を語り合うという形式で物語が進みます。『デカメロン』が最初に印刷されたのは1471年。欲望に奔放な人間の描写が、ローマカトリック教会の禁欲性との齟齬をきたし、16世紀の半ばには禁書目録にも掲載されました。しかし、15~16世紀だけでも推定192もの版を重ねた人気作の出版停止は難しく、教皇グレゴリウス13世は特赦を与え、検閲版での出版を許可しました。
本書の校訂は、フィレンツェの学者グループDeputatiが担いました。聖職者に対する好ましくない描写を削除しながら、原典を可能な限り保存するという難題に取り組んだのです。結果、教会を直接パロディにした箇所や、修道女を乙女や淑女に、修道士を黒魔術師に、司祭を兵士に変更してもいます。また、変更箇所は書体を変えた注釈を加えることで修正の痕跡も残しました。
本書はフィレンツェとヴェネツィアを中心に活躍した印刷者ジュンティ家による出版。本文はイタリック書体を用い、逆三角形型に文字組版が収束するハーフダイヤモンド・インデンションを用いるなど、レイアウトの美しさにも一見の価値がある資料です。