コレクション

中国民間版画「劉海戯金蟾」(門画)

収蔵品

サイズ:259×350mm(横×縦)

資料番号:26577、26578

中国には、民間版画と呼ばれる、庶民が消費する印刷物があります。この版画は、魔除け、吉祥祈願、家運隆盛、立身出世などといった除災・招福を祈るために用いられたものと、装飾用、鑑賞用のものがあり、門の扉や室内、竈のそばなどに張られます。蘇州や天津、広東などの地方において、木版によって製作されてきましたが、今日では、オフセットによって印刷されたものが主流となっています。
中国民間版画には、年画(部屋に張る、新年を寿ぐめでたい内容の装飾画)や、門神(門にいて家を護る神様)、門画(門に張る絵)などさまざまなものがあります。今回紹介する「劉海戯金蟾」は、代表的な門画の一つです。劉海は、元の名を劉玄英といい、劉海蟾とも呼ばれる仙人です。この劉海蟾から「劉海戯金蟾」の話が生まれました。両図には、三本足の金蟾が描かれていますが、蟾は月に住む霊物で、これを手にすると富むといわれます。左図には、好運を象徴する蜘蛛(天からの良い知らせをもたらす吉祥物)が現れ、劉海が手にお金を持っている姿が描かれています。その劉海の足下には、蓮の花と盒(蓋が付いた入れ物)がありますが、蓮の花は荷花ともいい、荷の音は(「he」)が同じであり、この蓮の花(荷)と盒の「hehe」は「和合」と同音となり、「和合」を象徴しています。これらの図柄から、発財と家内円満を表していることになります。