コレクション

『天工開物』

収蔵品

1771年(明和8年)制作/サイズ:269×180×7mm(横×縦×厚み)

資料番号:40334~40342

『天工開物』は、中国・明代末期に宋応星が著した技術書です。当時、中国で行われていた産業技術全般について、穀類、衣服、製塩、鋳造、製紙など18項目をあげ、詳細に記述しており、当時の社会情勢が色濃く反映されています。
著者は、地方官として広く各地を遊歴しましたが、そこで見聞したさまざまな事物をもとに、産業の生産過程を実証的に記述するとともに、木版画による数多くの挿絵を交えることで、読者にわかりやすく伝えることに精力を傾けました。
本書は、江戸時代の日本にも伝わり、多くの学者に読まれたばかりか、明和8(1771)年には、ここに紹介する和刻本も出版されました。このように日本において高い人気を得た反面、中国では、清朝初期に出版された後、三百年余りもの間、その存在が忘れられていました。しかしその後、1926年に日本に留学していた中国の学者によって、この和刻本が中国に伝えられると、その価値は徐々に高まり、多くの復刻本、研究書が出版されることとなりました。