コレクション

『古言梯』(こげんてい)

展示中

1765年(明和2年)制作/サイズ:182×258×16mm(横×縦×厚み)

資料番号:21854

賀茂真淵門人で江戸中期の国学者・楫取魚彦が著した、歴史的仮名遣いの正しい用法を示した辞典です。江戸の大手版元・須原屋のうちの1つ、須原屋市兵衛から1765(明和2)年に刊行されました。
『古言梯』は、定家仮名遣を訂正し、歴史的仮名遣いの礎を築いた、国学者・契沖著『和字正濫鈔』を補正、『古事記』や『日本書紀』などの古典から万葉仮名の用例を典拠しています。これにより契沖が提唱した歴史的仮名遣いを明らかにしました。本書はその後も他の学者により増補・訂正が行われ、世間に浸透していきます。
江戸時代は版元による印刷・出版活動が発展します。中でも江戸中期以降は、江戸が上方をしのぐほどの広がりを見せますが、そこには名プロデューサーとしての版元の存在がありました。本書を刊行した須原屋市兵衛も代表的なひとつで、人々のニーズをつかみ取る先見性があり、西洋の情報を取り入れた蘭学者たちの知識に着目し、『解体新書』などの刊行も手がけました。