コレクション

『先住民教育のためのドチリナ・キリシタンとカテキズモ』

収蔵品

1584年~1585年制作/サイズ:161×211×22mm(横×縦×厚み)

資料番号:40606

南アメリカ大陸で最初に出版された書物です。著者ホセ・デ・アコスタは、スペイン出身のイエズス会修道士で新大陸最初期の宣教師として知られます。1571年からペルーで布教をはじめ、本書のような宗教書以外にも、ペルー先住民文化の貴重な記録集を残しています。
所蔵本は28葉から151葉までの端本で、「奥義」「秘蹟」「戒律」について記されています。イエズス会が宣教に使った教理問答集で、信徒には必読の書でした。南アメリカ先住民を教化するため平易な言葉を使い、キリストの教義や日常生活で守るべき事柄をわかりやすく伝えています。先住民の言語ケチュア、アイマラ両語がスペイン語に並びます。ケチュア語はインカ帝国を起こした部族が使用した言語で、現在のペルー、ボリビア、エクアドルなどで使われていました。一方、アイマラ語はボリビア、ペルー、チリなどのアンデス地域に住む部族が使用した言語です。
同時期に日本でも天正少年使節がヨーロッパから持ち帰った印刷機を使い、宗教書が出版されました。簡単に読めるよう、多くは仮名交じり文です。本書同様、現地の風習に合わせ、やさしく布教しようとしたイエズス会の特徴なのでしょう。