コレクション

「開化因循興廃鏡」

展示中

明治初期制作/サイズ:354×240mm(横×縦)

資料番号:51422

急激に西洋化してきた世の中をからかった昇斎一景の諷刺画です。賑やかに画面いっぱいに広がるのは、新旧をかけた戦いの構図です。何と何が戦っているかと思ったら、江戸の文化と文明開化後の文化、風俗が相対しています。擬人化された「人力車」が「かご」を踏んづけて、「らんぷ」が「かんてら(燭台)」に一太刀浴びせようとして、「ざんぎり(頭)」が「やろう(髷)」を捕まえて…。どうも全体的に日本に古くからあるものは分が悪いようです。
数えてみるとさまざまな戦いが繰り広げられています。1「人力車vsかご」、2「かうもり傘vs両てん(傘)」、3「しゃっぽvsゑぼし」、4「牛なべvsおでん」、5「しゃぼんvsぬかふくろ」、6「日本米vs南京米」、7「よこ文字vsかん学」、8「いすvsしょうぎ」、9「西洋料理&せいよう酒vs会席料理&日本酒」(タッグマッチ!)、10「日本あぶらvs南京油」、11「らんぷvsかんてら(燭台)」、12「れんがせきvsかはら」、13「うさぎvsぶた」、14「ざんぎり(頭)vsやろう(髷)」、15「小便所vsとこみせ(トイレ同士の戦いか?)」、なんと右下では犬まで戦っています(16洋犬vs狆(ちん))。さらに、表題「開化因循興廃鏡」の文字が入ったフラッグを、西洋の銅版画のような陰影を持つ牛が支えています。また、左上で黒煙をあげているのは文明開化の象徴である陸蒸気(おかじょうき)(蒸気機関車)です。
この時代の人たちは近代化を楽しむ一方で、先人たちが培ってきた伝統が消えていくのではないかという不安もあったのかもしれません。そんな思いを感じさせてくれる、興味深い印刷物です。