コレクション
鳥居清経『匂袋』
収蔵品
1774(安永3)年制作/サイズ:128×177mm(横×縦)
資料番号:51629
擬人化された薬を題材にした青本です。青本は江戸時代に出版された草双紙の一種で、赤本より内容が複雑で、年長の子どもを対象としました。本作は擬人化されたものが二手に分かれて争う異類合戦の物語形式を採用。実際に販売されていた漢方薬や中国古代の医薬神を含む、約20の登場人物による惚れ薬をめぐって織りなす恋愛劇がユーモアたっぷりに描かれ、大人も楽しめる内容になっています。
絵師で作者の鳥居清経は、役者絵で名を馳せた鳥居清信を祖とする鳥居派で、三代目鳥居清満の弟子です。生涯を通して200以上の草双紙を手がけました。
版元は赤本を生んだ草双紙の草分け的存在である江戸地本問屋の鱗形屋です。現在の人形町と小伝馬町の間付近に店を構えており、近隣には薬種問屋がありました。清経は、形式や内容に共通点が多い『梅漬膏惚薬(うめづけあぶらのほれぐすり)』(1761(宝暦11)年)も手がけており、薬に詳しかったことがうかがえます。巻末の売立目録から、本資料は1774(安永3)年に出版されたと思われますが、同じ内容で『話加減窹藥(はなしかげんめざましぐすり)』と題された1762(宝暦12)年刊と思われる版本があることや、宝暦期に流行った言葉が採用されていることなどから、後摺の可能性が高いと考えられます。