コレクション

『失楽園』

収蔵品

1688年制作/サイズ:245×385×40mm(横×縦×厚み)

資料番号:58902

旧約聖書「創世記」を題材にした詩人ミルトンによる長編詩。代表的なキリスト文学のひとつであり、イギリス最高の叙事詩と称されます。地獄に墜ち苦悩する悪魔(サタン)は、もともと神に祝福された天使でした。神に対峙し敗れた悪魔は、他の堕天使とともに地獄からの復活を期し神への謀反を企てます。天使対悪魔による壮絶な戦闘場面は、物語の見どころのひとつです。
激戦に破れてしまったサタンは再度、神への挑戦―楽園に暮らすアダムとイヴを誘惑すること―を決意します。イヴはたくらみどおりに禁断の木の実を食べ、「人間の堕落」は決定的に。イヴを追い、木の実を手にするまでのアダムと大天使ミカエルとのやりとりは、人間に宿る根源的な感情の表現といえるでしょう。神の祝福、そして安住の地を求めてアダムとイヴはエデンを後にします。
本書は第四版。はじめて挿絵(銅版画、エングレーヴィング)が入った版として知られます。写真は神の雷に打ちのめされた堕天使たちを呼び覚ますサタン。