コレクション

『孔子家語』

収蔵品

1599年(慶長4年)制作/サイズ:203×280mm(横×縦)

資料番号:60376~60378

この書物は、慶長4(1599)年に徳川家康が最初に印刷させた版本で、版式は木活字を用いた活字本です。家康は京都の円光寺において、僧であり学者であった元佶に命じて木製の活字を約10万本作らせて、慶長11(1606)年までの間に7種類の書物を印刷、出版しています。『孔子家語』の内容は孔子の門人との会話を中心にその言行を収めた書で、44編からなる家康愛読書の一つでもありました。今日伝わるのは、多くの古典から孔子についての記載を抜粋し、魏(三国時代)の王粛が自由に編集したものといわれています。
後陽成天皇による慶長勅版の最盛期であった慶長4(1599)年、徳川家康はそれまでの戦乱を振り返り政治に文教の必要性を認識していました。そこで関東下野国足利学校の校主であり、その優れた学才によって家康の元にいた僧の閑室元佶に木活字数十万本を与えて、同年に伏見版を開版させました。ついで慶長6(1601)年9月には京都郊外に足利学校の上方分校として円光寺学校を設け、その校長に元佶を任命しました。
伏見版として最初に刊行されたのがこの『孔子家語』です。これは家康が慶長2(1597)年から慶長4(1599)年にかけて続々と開版された慶長勅版に刺激されたためともいわれ、これを発端として『三略』、『六韜』、『貞観政要』、『周易』、『七書』など七種八十冊ほどが慶長11(1606)年にいたる8年間に開版されたのです。
この伏見版関係の木活字は、京都の円光寺に一部が現存していてその数およそ5万2千本。これは平成4(1992)年に文化庁より重要文化財に指定されました。