コレクション

《大阪商船株式會社 (横綱 太刀山)》

展示中

1917年(大正6年)頃制作/サイズ:987×620mm(横×縦)

資料番号:00057

この時代、第一次世界大戦の影響で空前の好景気にあった日本では、購買力を刺激するための広告として、多色刷りのポスターが流行していました。モチーフとなるのは美人が一般的でしたが、このポスターは当時人気の横綱、太刀山をモデルとしています。印刷したのは日本の印刷業界に多大な功績を残した市田オフセット印刷です。
このポスターはモデルが力士という斬新さに加え、その印刷も大変すぐれており、まだ創業間もない市田オフセット印刷は一躍名を馳せることとなりました。
明治末から大正にかけて、石版印刷は版材を取り扱いの容易なアルミ版へ移行し、直刷りで印刷されていました。それでも十分間に合っていた中で、創業者の市田幸四郎はスピードと質の向上を求めて、大正3(1914)年、アメリカのポッター社製オフセット印刷機を輸入します。オフセット印刷とはゴム胴へ一旦インキを転写して、そこから紙へ印刷する間接刷りのことです。直刷り印刷機と比べて五倍以上のスピードで、紙質が悪くても比較的きれいに印刷することができました。しかし当時の多色刷りポスターは、画工が目で分色して製版するため、時には二十色以上に分色するなど手間と時間のかかるものでした。このポスターもなんと十七色刷りです。
同社は大正9(1920)年に、黄、紅、藍、墨に補色二~三色を加えた版で印刷できる画期的なHBプロセス製版装置をアメリカより導入し、オフセット印刷と融合させることでカラー印刷の近代化を図りました。この方法はカラー電子製版が主流となるまで、その後五十年あまり続くものでした。