コレクション

『普通植物図譜』

収蔵品

サイズ:195×266×3mm(横×縦×厚み)

資料番号:00956

1906(明治39)年から石版印刷で発行された植物図譜。会費によって月1回発行され、全5巻60集にもなりました。本書の発行を担ったのは村越三千男という人物です。村越は、旧制中学校で植物学と絵画の教師を務めた後、その職を辞して植物図譜発行をするために上京しました。
地方によっては動植物の知識を十分に持たず、教師を務めていることを見聞きしていた村越は、図譜の必要性を痛感していました。図入りの参考書が教育現場で普及することで、植物を採取した児童や生徒の質問に答えることができ、ひいては植物学の裾野を広げられると考えたのです。
上京をしたものの、植物図鑑の発行を担う出版社はなかなか見つけられませんでした。そこで、村越は自費出版を考え「東京博物学研究会」という組織をつくりました。この研究会は図譜の発行を行うだけでなく、印刷所も兼ねていました。京橋の木挽町に居を構え、1階には石版印刷所、2階には採取した植物を記録する写生室を設けています。絵画の教師として働いていたこともある村越にとって、描画によって版を作ることも可能な石版印刷は、自らの宿願をかなえる格好の技術でした。
本書の校訂は牧野富太郎が行っています。当時、植物学の大家として活躍していた牧野の名は宣伝効果として大きく、7000部以上を発行したとも村越自身が回顧しています。