コレクション

『摂津名所圖会』

収蔵品

1796年(寛政8年)~1798年(寛政10年)制作/サイズ:185×260×12mm(横×縦×厚み)

資料番号:01051

本書は摂津国(せっつのくに)全域を文章と挿絵で紹介した地誌・案内書です。寛政8(1796)年、寛政10(1798)年の二回に分けて9巻12冊が刊行されました。摂津国は、現在の大阪府北部と兵庫県南東部にあたる区域ですが、本書は当時の活気溢れる同地域の風俗や行事を木版印刷によって今に伝えています。上の挿絵は木津川の西岸、寺島での大船の「船卸(ふなおろし)」の様子です。船の舳先(へさき)には住吉大神への御供(ごく)が供えられ、船上からは餅が撒かれ、新船の竣工を祝っています。下の挿絵は、川口に小舟が集まり、沙魚(はぜ)釣りをしている情景です。初心者でも簡単な沙魚釣りは、秋の風物詩として人々に親しまれていたようです。いずれも淀川などの水源に恵まれ、造船業や農漁業が盛んだった摂津国の豊かな地勢、国力を感じさせます。
名所図会シリーズは、安永9(1780)年の『都名所図会』が嚆矢とされています。以後人気が出て他の地域も出版され、好評を博しました。本書の著者である秋里籬島と絵師の竹原春朝斎のコンビは、先の『都名所図会』の他に、『大和名所図会』、『東海道名所図会』なども手がけています。