コレクション

『絵本異国一覧』

収蔵品

1799年(寛政11年)制作/サイズ:157×225×6mm(横×縦×厚み)

資料番号:51645~51648

江戸時代の人々は、鎖国下にありながらも、異国に対する関心を高めていました。寛政11(1799)年に著された本書は、その事実を物語る資料の一つで、53の国々とその人物を取り上げ、挿絵を掲げることでわかりやすく解説しています。
内容は、オランダをはじめ、フランス、イギリスといったヨーロッパ諸国を取り上げて新知識を伝える一方で、夜国や天堂国など、実在しない、空想上の国々や人物も紹介しています。その一つである夜国については、「二月の彼岸より八月の彼がんまでは日輪四方をめぐりて昼ばかりなり、又八月より翌二月までは日輪地平起の下をめぐりて夜ばかりなり。」とあり、白夜・極夜と考えられる記述がなされています。
なお、本書の跋文を記した者として勢州白子幸人の名があり、この名より、大黒屋(だいこくや)光(こう)太夫(だゆう)(伊勢国白子村の船頭で、漂流してロシアへ渡り女王エカテリーナ二世に謁見後、ロシア船によって根室に帰着)を思わせます。しかし、実際には光太夫が記したものではなく、異国ロシアを見聞してきた彼の名にあやかったものと推察されます。