コレクション

『絵本駿河舞』

収蔵品

1790(寛政2)年制作/サイズ:223×157×6mm(横×縦×厚み)

資料番号:01102

版面の上部に狂歌を載せ、江戸の名所が描かれた墨摺の狂歌絵本で、浮世絵師の喜多川歌麿が挿絵を手掛けています。江戸の版元・蔦屋重三郎のもとから刊行されました。狂歌は、五・七・五・七・七で構成された和歌の形式を持ち、社会への風刺や皮肉が込められたものです。
江戸では天明期に爆発的なブームとなり、大田南畝、朱楽菅江、唐衣橘洲(からころもきっしゅう)は三大家として流行をけん引しました。狂歌は詠み捨てられていましたが、『万載狂歌集』などが刊行されると、そのきっかけとなり、ブームに拍車をかけました。本書の狂歌の撰者は奇々羅金鶏(ききらきんけい)(畑金鶏)で、その三代家のひとりである唐衣橘洲に狂歌を学び、狂歌づくりに熱を注いだ七日市藩(現在の群馬県富岡市)の藩医です。本書は『絵本吾妻遊』と前編・後編の関係にあたります。
蔦屋重三郎は「蔦唐丸(つたのからまる)」の名をつかい、サロン活動にも積極的に関わり、最先端の流行に明るい版元のイメージをつくっていきました。本書は刊行にあたっての制作費用を出資金として希望者から募る入銀によってつくられたものと考えられています。
狂歌が流行し、すそ野が拡大していく中で、蔦屋重三郎は印刷・出版を通じて狂歌師として名を広めたい人たちのニーズに応えて、狂歌ブームを支えていきました。