コレクション

『印度撮影帖』

収蔵品

1905年(明治38年)制作/サイズ:227×307×16mm(横×縦×厚み)

資料番号:01213

西本願寺が発行した第一次大谷探検隊の記録写真集です。大谷探検隊とは、浄土真宗本願寺派第22代法主の大谷光瑞(おおたにこうずい)が、1902~1914年の間に3次にわたって中央アジアに派遣した学術探検隊です。探検により仏蹟の発掘調査が進み、貴重な古文化財がもたらされました。
第一次探検隊(1902~1904年)には大谷光瑞も参加し、釈迦が『観無量寿経』『無量寿経』『法華経』などを説いた山といわれ、長らく謎に包まれていた霊鷲山(りょうじゅせん)を発見しました。本書には霊鷲山に加え、バツーラ氷河、 ギルギットの磨崖仏、アショーカ王碑文、仏陀伽耶(ブッダガヤ)など、48の図版が載っています。
本書の製版は、小川写真製版所の網目版(写真銅版)によるものです。経営者である小川一眞は写真師として知られていますが、当時最先端の写真製版技術を身に着けた印刷人でもありました。小川は1893年のシカゴ万博にあわせて渡米し、現地で実用化されていた網目版に注目します。旅費の一切を写真銅版に関する機械器具材料の購入にあて、日本に持ち帰りました。その後、京橋区日吉町で写真銅版印刷を開始し、木版・石版・銅版が主流だった当時の図像の印刷に、新風を吹き込みました。