コレクション

凸版印刷合資会社『明治卅九年略暦』

収蔵品

1906年(明治39年)制作/サイズ:144×209×3mm(横×縦×厚み)

資料番号:14082

この暦は明治39(1906)年に発行され、お得意先に配られました。印刷には、当時日本に導入されたばかりのアルミ印刷が用いられています。
アルミ印刷は平版直刷りによる印刷方法で、日本では最初にアルミニウムによる版から普及したためこう呼ばれました。当初はアメリカやドイツなど海外からアルミ輪転印刷機が輸入されましたが、まもなく国産化されます。当時中村鉄工所支配人にであった浜田初次郎は、明治38年にアルミ印刷機を製作し、凸版印刷に納入しました。その国産一号機でこの暦は印刷されたのです。
内容はこの年の干支である午の絵によって12ヵ月が彩られています。画家中村不折によって描かれました。凸版印刷初代社長河合辰太郎は根岸に住んでおり、隣人であった寒川鼠骨をはじめ、浅井忠、中村不折などと交流がありました。浅井や中村は技術者たちの研修の講師も務めています。
歌や絵画と最新鋭の技術。この資料からは当時の印刷を取り巻く世界がみえてきます。