コレクション

オリヴァー・バーン『ユークリッドの原論』

収蔵品

1847年制作/サイズ:250×220×28mm(横×縦×厚み)

資料番号:20686

ユークリッドの『原論』全13巻のうち、最初の6巻を解説したカラー印刷本です。『原論』は紀元前3世紀に成立し、ギリシャ語からアラビア語、ラテン語で読み継がれ、15世紀のインキュナブラの時代から印刷本となりました。その後各国語に翻訳され、論証という現代に至る数学のスタイルを決定した、歴史上最も有名な数学書です。
本書はフォークランド入植地の測量士であり、数学者であったオリヴァー・バーンによって編纂された英語版です。学習者が『原論』を容易に理解できるよう、テキストのかわりに赤・黄・青・黒の4色で色分けした図形や記号を多用し、効果的に配した解説が特徴です。
チャールズ・ウィッティンガムとウィリアム・ピカリングにより、チズウィック・プレスが印刷・出版しました。書体はオールド・ローマンのカスロンを採用し、命題はイタリックで組まれています。銅版、木口木版の応用、多色刷石版術(クロモリトグラフィー)など、複雑で多様なカラー印刷技法が試されたヴィクトリア朝期において、掛け合わせによらない、4色の色版による素朴な印刷手法を採用したという点で、タイムレスで個性的な1冊といえます。