コレクション

『和英商賈対話集 初編』

展示中

1859年(安政6年)制作/サイズ:180×130×10mm(横×縦×厚み)

資料番号:20781

本木昌造らが塩田幸八の名義を借りて刊行した英会話集です。外国人と商取引する際に必要な英会話をまとめた実用書で、懐中本として制作されています。欧文とカタカナには鋳造活字、また金属製の罫線も使われています。活字父型、母型から手で鋳込むハンド・モールドを用い、鋳造によってつくった活字を使用して印刷したようです。
この書籍は、長崎奉行所内にあった活字版摺立所が閉鎖された後、インデルマウルによって設けられた出島印刷所で本木らが印刷したと考えられています。欧文、カタカナは鋳造活字ですが、訳文は木版で印刷されており、重なった部分も見られることから、二度刷りしたのでしょう。
『和英商賈対話集 初編』はオランダ商館長・クルチウスによってオランダにもたらされ、東洋学者ヨハン・ヨゼフ・ホフマンがオランダ語訳を付し、1861年にオランダとイギリスで復刻されました。当時日本の書籍が外国で出版されることはあまりありませんでした。その時代にあって、日本の実用書が海外において価値を生じ、具体的に使用された珍しい例です。