コレクション

『魯敏遜漂行紀略』(ロビンソン・クルーソー)

収蔵品

1857年(安政4年)制作/サイズ:122×185×5mm(横×縦×厚み)

資料番号:54083

幕末1857(安政4)年の日本で初めて出版された『ロビンソン・クルーソー漂流記』です。明治以前に欧米からやってきた小説のうち、唯一翻訳・刊行されたのが『ロビンソン・クルーソー』でした。デフォーが著した同書は1719年にロンドンで出版されると、イギリスはもちろんのこと、フランス、ドイツ、アメリカを中心に評判を呼び、世界中でベストセラーとなります。日本でも長崎出島のオランダ商館員経由で広まっていきました。
本書の序文によると「国学者横山保三による翻訳は読みやすい」と箕作阮甫(みつくりげんぽ)が絶賛しています。そのほか、洋風画家として知られる川上冬崖が口絵を含む3点木版挿絵を手がけました。おそらくオランダのチャップブックにある挿絵を模写したのでしょう。
「ハリーポッター」シリーズでもわかるように翻訳文化を広く受け入れている現代ですが、その原点は、江戸時代の和本にも見受けられます。