コレクション

『蔵乗法数』

収蔵品

江戸期制作/サイズ:157×277×11mm(横×縦×厚み)

資料番号:21277

仏教の教義や諸法が分類され、数によってまとめられた書物が、本書『蔵乗法数』です。例えば一心、二教、三蔵、五戒、八識、十大弟子、十二因縁、三十七菩提分法(ぼだいぶんぽう)などの項目が解説されています。仏教書には漢字ばかりで硬い内容というイメージがありますが、本書にはわかりやすく伝える工夫が見られます。文字による説明文だけでなく、線を用いて図示している箇所があり、理解を助けてくれます。例えば写真にあるように、五戒や十戒が不殺・不盗などの単語と線で結ばれ、五戒とは何か、十戒とは何かが、一目でわかるようになっています。これには、文字や図像を同じ版面で表せる木版印刷らしさが出ていると感じます。
もともと『蔵乗法数』は、1334年に中国・元の可遂(かすい)によって編集されました。日本では1410年に、室町時代の武将・大内盛見(おおうちもりみ)が刊行しました。いわゆる「大内版」の一つです(当館所蔵資料は江戸時代に再版されたものと思われます)。周防(すおう)の守護大名であった大内盛見は、武勇ばかりでなく、禅にも通じ、朝鮮に度々大蔵経を求めるなど、文化的業績も残しました。