コレクション

『西洋衣食住』

展示中

1867年(慶応3年)制作/サイズ:113×168×5mm(横×縦×厚み)

資料番号:26973

ペリー来航を機に開国した日本は、その後、西洋にならって近代化を押し進めていきました。西洋の政治や経済、法律、思想、文化などが伝えられ、取り入られることになりました。その役割を担った一つに、啓蒙書などの出版物があげられます。
『西洋衣食住』はその代表的な書物と言えるものです。著者については、題言に片山淳之介の名前が見られますが、実際に著したのは福沢諭吉と言われています(片山は福沢の門人)。福沢は、それまで三度の西欧体験があり、そこで得た西欧の生活様式のノウハウを知らしめることを目的に出版しました。
衣・食・住の三部によって構成されており、図版を交えることでわかりやすく説明されています。例えば食事についてでは、「西洋人は箸を持ちひず。肉類其外の品々、大切に切りて平皿に盛り、銘々の前に竝(並)べたるを右の手に庖丁を以てこれを小さく切り、左の手の肉刺に突掛て食するなり。庖丁の先に物を載せて直に口へ入るゝは、甚不行儀のことゝせり」と記述されており、テーブルマナーについて紹介しています。
新しい文化を世に広めた本書ですが、明治初期の学校の教科書としても用いられ、近代教育の発展にも貢献しました。