コレクション

『けいせい色三味線』四之巻

展示中

1701年(元禄14年)制作/サイズ:184×128×7mm(横×縦×厚み)

資料番号:21822

京都、大坂、江戸、鄙(ひな)、湊(みなと)の5つの場所における遊里を舞台にした、江島其蹟(えじまきせき)による浮世草子です。京都を代表する版元、八文字屋から出版されました。5巻24話から成り、当館では伏見、奈良、大津を舞台にした「鄙之巻」を所蔵しています。
八文字屋は絵入狂言本や役者評判記など、旺盛な出版活動を展開しており、本作が浮世草子出版の一作目となります。黒表紙に半紙二つ折りサイズの横型本が特徴で、八文字屋によるこの体裁の浮世草子は「八文字屋本」と呼ばれました。携帯に便利で、貸本屋経由でも広まり、長く大衆に親しまれました。
其蹟は、演劇関係の本を執筆しており、本書は八文字屋がその文才を見込んで書かせた浮世草子の処女作です。井原西鶴の登場以降、亜流の浮世草子がひしめくなか、新しい作風をもたらしました。
挿絵を担当した西川祐信は上方を代表する人気絵師で、元禄後期より評判記や往来物、浮世草子など、多くの八文字屋出版物の挿絵をてがけました。