コレクション

『物類品隲』

収蔵品

1763年(宝暦13年)制作/サイズ:179×280×8mm(横×縦×厚み)

資料番号:51663~51668

江戸を代表する才人平賀源内(本名:国倫)の著作。<エレキテル>で有名な平賀源内は、実用的な技術を開発する起業家、科学者として活躍する傍ら、自ら動植物を出品する物産会を開き、本草学者として活躍しました。物類は物産、品隲は品評して定める、という意味で物産解説書としての性格が強い本書ですが、博物書としても高い評価を得ています。
物産展(会場:江戸湯島)に出品した動植物や鉱物から平賀源内は三百六十種を選び出し、漢名、和名、性質、形状、産地を付けて記録しました。漢方薬や砂糖のように当時海外から輸入していたものを国内で生産できないかと、その製法を記したり、長崎貿易で海外へ流出しないよう、銀や銅などの鉱物を取り上げているのも特徴です。薬草は巻之三、巻之四で本文中に取り上げられ、巻之五では甘草、サフラン(泪夫藍)、蝦夷種附子、石芝の四点が図入りで紹介されています。
これらを執筆する際に、源内は所有していたドドネウス著『草木誌』という大型の植物図鑑を参照したと思われますが、源内はオランダ語に自信がなかったため、本文をどの程度まで理解できていたかは未知数です。