コレクション

『経済説略』

収蔵品

1869(明治2)年制作/サイズ:119×179×6mm(横×縦×厚み)

資料番号:22012

2026年は、アメリカ合衆国で「独立宣言」が採択されてから250周年にあたります。もう一つ、出版から250周年を迎えるイギリスの名著があります。それが「近代経済学の父」と称されるアダム・スミスの『国富論』です。日本で初めて『国富論』の一部を紹介した本が『経済説略』でした。
本書の本文は全67ページで、すべて英語・活版で印刷されています。レッスン1~11は、経済学者リチャード・ホェートリの著書『教科書』からのリプリントで、最後のレッスン12「Division of Labour,....Smith,」は、『国富論』からの一部抜粋とホェートリの別の著書からの抜書きを編集したものです。スミスの「分業論」は、社会的分業と協業の発達がもたらす効果を説き、今でも経済発展の重要な要素とされています。日本における経済思想受容の早い実例です。
本書を編集・翻刻したのは、旧幕臣の渡部温(わたなべおん)です。『通俗伊蘇普物語』の翻訳や『康煕(こうき)字典』の校訂などに見られる卓越した語学力を持ち、洋書調所、沼津兵学校、東京外国語学校校長などを歴任しました。さらに実業界でも、渋沢栄一と東京製綱の設立に参画し初代社長を務め、東京瓦斯の開業にも関わりました。