コレクション

木活字

収蔵品

サイズ:366×822×46mm(横×縦×厚み)

資料番号:25524~25627

活版印刷に使用される活字は、鉛を主とした合金でつくられます。しかし大きな活字は鉛では重くなってしまい扱いにくく、また精度を高く鋳込むのも難しいものです。見出しなどに使用する活字をどのように製作するのかは、活版印刷が普及して以来つづいた課題でした。
木活字は文字通り木でできた活字で、サクラやパイン、ツゲやマホガニーなどでもつくられましたが、多くは固く木目が細かで豊富に供給可能なメープル材が使用されています。大量に同じ文字が必要な活版印刷では、1本1本を手彫りするのでは間に合わず、軽い木活字が普及するのは、量産体制が整ってからです。
1828年、アメリカのダリウス・ウェルズによって発行された活字見本帳には、木活字による文字が印刷されていました。彼の工場には自身の発明によるルータがそなえられ、ドリルのように回転する刃で文字を彫り出したのです。文字彫刻用のルータの開発は、固い木への彫刻を機械化し、木活字量産への第一歩となりました。さらに、1834年ごろ、レブンワースがルータにパントグラフを取り付けました。型をなぞって同じ文字を彫刻できるこの機構によって、木活字は安定的に供給できるようになりました。